異世界ベルリンより、ハロー、グーテンターク!
移住に伴って大きな問題になるのが仕事です。移民という立場上、ドイツ人と同じようにどんな職業にでも自由に就職できるわけではありません。どういうことかというとドイツ人にも人気がありドイツ人と職の取り合いになるような業界で就職することは難しいということです。ドイツ人の失業者を増やしてまで外国人を受け入れる理由は普通はないからです。
この点でドイツでも人材不足の業界は「看護・介護業界」「IT業界」なので、看護師、介護士、システムエンジニアなどは就職しやすいと言えます。ベルリンで私が会ったり聞いたりした範囲では、レストランのウェイター・ウェイトレスや、マッサージ・整体師、美容師、翻訳家、庭師など何らかの技術を持っている方、あとベルリンには音楽や舞台に関わる芸術家が多いと聞いています。もちろんラーメンとか日本料理店や日本の食材販売店などで自ら起業するパターンもあります。
私は公務員時代に福祉分野で介護人材の担当をしていたので、限定するつもりはありませんが、まずは特に看護師や介護士でドイツで働きたいという人を支援できないかと考えています。さらにこれに追い風となるのは、最近、看護師・介護士の日本の資格をドイツの資格に書き換えることができるようになったことです。また日本人の長所である丁寧さや細やかさ、気配りがより高く評価される仕事でもあります。日本の福祉業界では待遇が良くなく、就職後のキャリアアップや昇給の仕組みも 十分でないため、資格を持っていても就職していない人が多いという現状があります。そのような中で将来に行き詰まりを感じている人は思い切ってドイツでのキャリアを目指してみるのも全然あり得ると思います。
さらに言えば、ドイツ国内でも日本人の高齢者が多くなっており、ドイツにおける老後が大きな課題になっています。高齢者になって頭がはっきりしなくなると、どんなに流ちょうに外国語を話していた人でも最後は母国語しか話せなくなるそうです。私はここにも需要があり、ドイツ国内の日本人高齢者のためにも日本人の看護師や介護士が求められていると考えています。
福祉業界におけるドイツの給与ですが、月額で看護師(有資格)が2,400~3,200€、介護士(有資格)が2,200~2,800€で、看護・介護助手(無資格)でも2,160~2,800€となっています。1€が140円として無資格でも最低月30万円の収入になります。また日本の免許を書き換える場合には該当しませんが、資格を取るための3年間の研修をしている間は、月1,200~1,350€になります。
コロナを経て看護・介護人材の需要がさらに高まったため、ドイツ政府は看護・介護分野の魅力を高めるために「第4次介護労働条件条例」で段階的に看護・介護分野の最低賃金を引き上げつつあり、未熟練労働者の時給は、2021年4月1日の11.80€から2023年12月1日には14.15€(1,981円)、有資格労働者では15.00€から18.25€(2,555円)まで引き上げられます。日本の福祉業界と比べてかなり良い条件なのではないでしょうか。
ベルリンより愛を込めて、アオフビーダーゼン!